キャッチャー・イン・ザ・ライ

読んでいるうちにとことんうらぶれた気持ちになったし、いらいらさせられた。ホールデンはだいたい何もかもが気に食わなくて300ページくらい文句を言い続けているし、自分が認めている人にはとりあってもらえないし、頭の中でだけはかっこつけてインチキなやつらをぶん殴ったりしてるみじめなやつなんだけど、いらいらの正体は読んでいる自分自身に向けられているものだと気づいた。彼の不満に全面的に共感できた時期はとりあえず過ぎていったけど、つい最近までどうしようもなく傲慢でいたせいか、そしてそれがまだ抜けきっていないせいか、やれやれ本当にまいっちまったな。きっといつか喪失が訪れるんじゃなかとひやひやしたし。それにしても、真正面から忠告を与えてくれた先生が、目を覚ましたら自分の顔を撫でていたというのはずいぶんな話だよな。なぜかグッドウィルハンティングを思い出す。
若さを描くってこういうことなんだね。なんとなく庄司薫の本を読みたくなった。